なんか心なしか嬉しそうな音子ちゃん。
これは、もしかしてワンチャンある……?
期待に胸が躍る。
正直、今の彼女より、音子ちゃんのほうが素直でかわいいかも。
俺は意を決して音子ちゃんに向き直った。
「音子ちゃん! もしよかったら、俺と……」
「え……お兄ちゃん?」
音子ちゃんの後方から歩いてきた男は、俺もよく知っている……というか、友達だった。
こいつの名は、木戸光 珈琲(きとみつ かふぇ)。
(ああ、名字が同じやのに、なんで気づかんかったんやろ……こいつ、下の名前がもうインパクト十分すぎんねん……)
(そうか、音子ちゃんは、珈琲の妹やったんか……)
「うわっ、ちょっ、待って、ちゃうって!」
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兄妹は仲睦まじく帰っていった。
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(ゴミを見るような目で見られた……)
俺は心に深い傷を負った。
その後、珈琲からの密告により浮気未遂も彼女にばれ、あっけなくフられた。
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