学生ライフ
【ローカルメディアを通してプレイヤーを育てる】元教育者の編集長が描く加古川の文化づくり

こんにちは、きっとみつかるカフェ編集長のかまたまです。

皆さんは、
「ベッドタウン」
という言葉に、どんなイメージを持つでしょうか。

郊外にある、閑静な住宅地。

それは「出ていくところ」であり、
「戻ってくるところ」でもあります。

「田舎ほど不便でもないし、都会ほど人も多くない」
「ベッドタウンって、”ほどほどパラダイス”なんですよ」

そう語るのは、兵庫県加古川市の魅力を伝えるメディアpalette(パレット)」の編集長を務める、ライターのロペスさん。

中野広夢(なかの ひろむ)(通称:ロペス)さん
兵庫県加古川市の魅力を伝えるローカルメディア「palette」の編集長兼ライター。元教育者でもあり、小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経験。

兵庫県加古川市は、その交通の便の良さから、神戸や姫路のベッドタウンとして知られる街です。(姫路まで電車で10分、神戸へは30分、大阪へは1時間ほど。)

そんな加古川市のローカルメディアである「palette」では、加古川の地や人の魅力を発見し、文化づくりに繋げるためのコンテンツが日々発信されています。

その編集長をつとめるロペスさんに、「palette」をつくった背景や思いをお聞きしました。

“ほどほど”が揃う街、加古川

 いきなりで恐縮なんですが、加古川ってどんな場所なんですか? 私、関西出身じゃなくて、イメージも知識も全然ないんです。

 加古川は、いわゆるベッドタウン、地方都市ってやつですね。神戸や姫路などの都心に近くて、でも人は都会より少ない。

 すごく住みやすそうですよね。大学生が遊ぶような場所とかはあるんでしょうか?

 うーん。加古川市内の娯楽施設はあまり聞きません。みんな神戸や姫路に出て遊ぶイメージです。あるとしたらショッピングモールくらい?

 お、おお。出ました、田舎の代名詞、みんな大好きショッピングモール。

 神戸や姫路みたいな都心にすぐ出られますからね。加古川にはほどほどに人がいて、ほどほどに施設がある。加古川に限らず、ベッドタウンというのは「ほどほどパラダイス」なんですよ。

 ほどほどパラダイス。

 ほどほどパラダイス。

加古川のローカルメディアを立ち上げたわけ

ロペスさんが編集長をされている「palette」は、兵庫県加古川市の魅力を伝えるローカルメディアです。

 なぜ加古川のローカルメディアを立ち上げようと?

 ロジック的なところを言うと、加古川ではコミュニティスペースのような『箱モノ』で収益を立てるのは難しいと思ったんですよね。加古川に来た当初はまだまだ集客力が乏しいし、人を集めたとしてもお金を落としてもらうためのコンテンツも持っていなかった。地域の人も特に『これ!』といった欲しいものがなく、ほどほどパラダイスに満足している。

 加古川にはいわゆる「意識高い系」ってあんまりいないんです。色んな意味でみんな現状に満足しているし、落ち着いてる。

 「足るを知る」って感じですね。

 そうですね。地元の人でも、加古川にある魅力に気づけていない人が多いと思います。でも、加古川ってよくよく探してみると素敵な人がたくさんいるんですよね。だから、「人」に焦点をあてたメディアを作ろうと思ったんです。

ローカルメディアを通じて「プレイヤー」を育てる

 僕自身が小学校の教員や塾講師をやってきた元教育者というのもあって、やっぱり人を育てたいって思いが強いんです。加古川には大学も少ないし、学生を相手にする企業も多くない。だからこそ、メディアを通じて若い世代が活躍できる環境を作りたいし、そういったプレイヤーが育つ文化をつくりたいんです。

 メディアを通じて人を育てる、ですか。だからpaletteの記事には個人をフォーカスしたインタビューやイベント記事が多いんですね。

 しかし、加古川の若い人たちは進学や就職で都会へ出て行っちゃうんですよね? せっかく育てた若者が加古川を離れていくというのは、なんだかもったいないような気がしますが……。

 そうですね。みんな神戸や大阪へ出ていきます。僕はそれでいいと思っています。若くて感受性が豊かなうちに、ビジネスやトレンドの中心である都会を経験するのはこの先財産になりますから。そしてなにより、出て行った若者が地元へ戻ってくるかどうかは、その地元に帰りたいと思わせる魅力があるかどうかなんです。若者が地元へ戻らないのは、街づくりの問題であって、若者のせいではありません。

 なるほど。私もド田舎から大阪に出てきた身なので、なんとなく故郷に対する負い目みたいなものを感じていたんですが、そう言ってくれる大人がいるのは心強いです。

「palette」が目指すもの

 paletteを作り上げるなかで大切にしていることはありますか?

 地域やそこに住んでいる人の心に遺る記事をつくることですね。ただ地域の情報発信をするだけのメディアにはしたくないんです。だから、やみくもに流行を追ったりもしません。流行りに乗るだけですぐに廃れてしまう一過性のコンテンツよりも、その地域に長く残り、発信者が折に触れて読み返すだけの価値があるような、文化的な記事を書くよう意識しています。

 加古川の文化づくりに繋がるようなサイト運営をされているんですね。paletteの読者層はやっぱり加古川市民のかたが多いんですか?

 そうですね。特に高校生や大学生、20代の方がメインです。そもそもpaletteのコンテンツは、加古川の良さをそこに住む人たちに気付いてもらうことが目的なんですよ。加古川にはたくさんの人が住んでいるのに、その良さに気付いていない人が多い。まずは加古川の人たちに、自分たちの地元が持つ魅力に気づいてほしいんです。

 なるほど。地元の良さを再発見するって、ローカルメディアの重要な役割ですよね。

おわりに

都心のベッドタウンという外から見た利便性ではなく、その中にある人と文化に向き合う。
ロペスさんのメディア運営には、元教育者としての「人を育て、文化をつくる」姿勢がしっかりとあらわれていました。

ローカルメディアという新しい形で、若者のことを気にかけ、育てようとしてくれる「温かい大人」がいるということ。
私たち学生にとって、これほど心強いことはありません。

今、爆発的に増えつつある関西のローカルメディア。
関西とひとくくりにするにはもったいないほど、たくさんの文化が眠っています。

ローカルメディアを通じて、もっともっと関西を内側から盛り上げていきたいですね!

編集長対談シリーズ

きっとみつかるカフェ。× palette

 

 

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