こんにちは、ライターのミライです。
メロスは激怒した。
この冒頭から始まる名作は皆さんご存知ですよね?
文豪太宰治の作品である走れメロスです。
久しぶりに読み返してみたのですが、引っかかる部分があったのです。
とある一節、「少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。」
ん? 何かがおかしい。
ここで、理系らしく計算してみたいと思います。
地球の真ん中を通っている赤道の長さは約4万km。
ですが、舞台は北緯40度に位置するイタリアなので約3万kmと少し短くなります。
地球は一日で一回転するので、24時間で3万km動くことになります。
この速さは、時速約1300kmです。
メロスはこれよりも10倍速いので
時速約13000km。
これを秒速にしてみると、秒速約4.7kmになります。
メロスの速さはマッハ14に値します。
音速は秒速約340m。マッハは音速より何倍速いかを表します。メロスの場合、音速より14倍速いのでマッハ14と表記します。
陸上100mで世界記録を持つウサイン・ボルト選手のタイムは9秒58。
メロスは0.02秒。
(速いね。それだけ速く走ったら服も破れて、血を吐くよね。ていうか、よくそれだけで済んだね。)
地上を走っているので、もちろん空気抵抗を受けます。
メロスは約380tもの空気抵抗を生身の体にさらしているのです。
言い換えるならば、アジアゾウ約100頭分の重さです。
(もうわかんない。)
城の付近までたどり着くと、人も増えてくるので当然ぶつかります。
マッハ14で走る人間と衝突した人間は、遥か彼方約1500kmぶっ飛びます。
(人は殺さないで下さい。)
被害は近くの人だけに収まりません。
普通の大人くらいの物体がマッハ14で走ると衝撃波が半径約3kmの範囲に広がるでしょう。
この範囲内のガラスがいきなり割れます。
メロスに触れなくても鼓膜が破れるなど、その影響は凄まじいです。
(メロス、兵器になる。)
人の命を軽視した王に激怒したメロス。
その本人が多くの人の命を奪う兵器になってしまうところでした。
音よりも速く走って親友のセリヌンティウスを救えたこと。
メロスという兵器が駆け抜けても国の人々は丈夫で誰も死ななかったこと。
このすべてがハッピーエンドであることを知りました。
編集部から一言 |
名作vs理系 |
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