チャオ!メンズファッションライター(だと思い込んでいる)のサカモトでございます。
突然でございますが皆様がお持ちになっているスーツの事、どれくらいご存知でしょうか?
例えば襟についているボタン穴の意味、ご存知ですか?
そんな何気ない疑問に二回にわたってお答えしましょう
スーツを着ない今の時期に薀蓄でも蓄えて秋に今から備えておきましょう。
後編ほコチラ
襟のボタン穴
さてまずは冒頭で申し上げた疑問にお答えすると致しましょう。
ビジネスマンの方などは普段何気なく社章バッヂをつけたりしているこの穴、そもそも何なのか。
ちょっと皆様お手持ちのスーツの襟を立てて着てみてくださいませ。
この穴がちょうど反対側の襟と重なりませんか?
実はこれスーツが詰襟だったころの第一ボタンの名残なのです。(諸説はありますが)
それが今のように襟を折り返す形に変化し、第一ボタンの穴にはお花を挿したりするようになり、そのためにこの穴だけが今でも残っているのです。
いまでもお花が挿しやすいよう、襟裏に茎を支える紐が付いているジャケットもございます。
ちなみにヨーロッパなんかだとここに挿す用のお花(ブートニエールと言います)がお花屋さんで売っていたりするそうです。
※襟とさっきから言っていますが正確にはラペルと呼びます。
シングルとダブル
皆様おそらくご存知でしょうがスーツにはシングルとダブル(正確にはシングルブレストとダブルブレスト、日本語だと片前と両前)がございます。
よくダブルは年配の方が着るもので、そちらの方がフォーマルとされていたりしますが、、、
実はこれ間違っています。
いえ、まぁ年配の方の方が着用率が高いのはおそらく事実なのでしょうが、そこではございません。
実はシングルとダブルにフォーマル度の差はございません。
単純に形が違う。これだけです。
だから老いも若きもダブル着てみようぜ?って話でございます。
ただ生地を使う分量が多い分、どうしてもシングルよりは高価になります。
ですので目上の方が着る服、という風潮があるのも事実でございます。
ちなみにサカモトはダブルの方が好きです。だってかっこいいじゃん?
ジャケットの裾の切れ目
ジャケットの裾に入っている切れ目、これを「ベント」(仏語で通気口などの意)といいます。
このベントには3つ種類がございまして、まず真ん中に一本入っているものを「センターベント」
左右に二本のモノを「サイドベンツ」(二本なので複数形)
そして何もないものを「ノーベント」
といいます。
センターベントは日本語で「馬乗り」といい、その名の通り馬に乗るときに乗りやすいように考えられたもの。
サイドベンツは日本語で「剣挿し」といい、腰に剣を指すときに引っかからないように考えられたものなのです。
上の二つが軍服に起因しているのに対してノーベントは礼服などに用いられるフォーマルなディテールなのです。
ですので喪服や礼装にはこのようなベントの入ったスーツは本来使えません。
※喪服や礼服と謳ってベントの入ったスーツを売るような店があればサカモトまでご一報を。とっちめてやろうではございませんか。
シャツは下着
今は季節が季節ですし、ビジネスであれインターンであれジャケットを着ておられない方も多いのではないでしょうか。それ、そもそもであればパンツ一枚で歩いているようなものなのです。
というのも、ジャケットが上着なのに対し、シャツは下着なのです。
いやね、言葉遊びではなくこれはマジなのでございますよ。
実際ヨーロッパではいまだにシャツは下着だからと人前では絶対にジャケットを脱がない方もいらっしゃいます。
加えてシャツが下着である以上、その中にさらに下着を着るのは本来おかしいことなのでございます。
ですがまぁ高温多湿の日本の夏や寒い冬の日なんかは苦行でしょうからあくまで透けない、シャツを開けても見えない程度の機能性肌着などであれば着用しても構わないとワタクシは思っております。
袖口から出たシャツは汚れどめ
皆様もちろんご存知かと思いますが、ジャケットの袖丈というのはシャツの袖が1センチほど見えるのが正しいそで丈なのです。
これにももちろん理由がございます。
今では洗濯できるウォッシャブルスーツなどもございますが、昔はクリーニング溶剤などもなく、ジャケットというのはそんな気軽に洗えるものではございませんでした。
ですので袖口が直接肌に触れぬよう、シャツの袖口で防いでいるのです。
ちなみにこのシャツの袖を見せる量、理由は不明ですが地域によって微妙に違い、
イギリスやフランスだと1~1.5センチほど、そこから少し南の北イタリアからナポリまでは若干英仏より短め、さらに南へ行ってシチリア半島までいくと長めで3~4センチ見せる傾向にあるそうです。
次回へ続く