一口目、地面に着くと同時に溶けてゆく白雪のように私の舌を襲った。
二口目、お母さんに抱かれて眠ったあの頃を思い出す。
三口目、僕は理不尽なこの世の中から完全に別の世界に連れ出されていた…
柔らかいだしの味が心地よい。

全てを抱擁する春の日差しの色のたまごが、ずっしりとした存在感を示すカツといいコンビだ。
ピカソのゲルニカに見られるカオスの美しさというわけではない。
それよりはむしろ、モネの日傘をさす女のような、各要素がお互いに個性を高め合うような調和が感じられる。
これはまさに芸術と呼ぶに値するだろう。
天使が優しく僕の頭を撫でてくるような、そんな優しさがココロを満たしてくれた。

そんな夢のような時間を過ごしたのは堺筋線恵美須町駅から歩くこと約2分、その店の名は「ポミエ」だ。
店の前に出来た列が期待を膨らませてくれる。

店に入ると店員さんの優しい挨拶とともにムーディーなBGMが流れ込んでくる。
そんな「ポミエ」の看板メニュー、カツ丼。

ぜひ一度口にしていただきたい。