(なんと山本さん、差し入れにミヤコケーキをくれました。さすが社長!!ありがとうございました。)
「いきなり豆腐について、僕が熱く語るとポカーンってなっちゃうので、まあ、食べながらでも聞いてください。」
「わぁ〜!!ありがとうございます!。とっても美味しい!幸せ〜!」
「それならよかった、買いに行った甲斐があったよ。具体的にどう美味しいの?」
「そうですねー。この生クリームとスポンジのバランスがいい感じで美味しいのとやっぱり甘いものは正義ですよね。」
「そうなんだよ!その甘いってのが大事。人ってめちゃくちゃ甘みに弱いんだよね。」
「この甘みが好きなのにもちゃんとした理由があってね。日本人って昔はどんな生活をしていたか知ってる?」
「そのとうり! 日本人は農耕民族で、昔からお米など炭水化物を主食にしてきました。お米の炭水化物はおもにでんぷん。それが口に入ると糖に変わっていき、その過程の甘さを美味しさと感じていたんだ。ブドウ糖でしか僕らの脳は動かせないからね。ちなみに猫は炭水化物の消化が苦手でタンパク質をエネルギーのメインにしてるよ。」
「なるほど、だからかつお節に目がないのか……って、話と脱線してませんか?」
「って思うでしょ?実は結構大事な話。豆腐の話に戻すね。そもそも豆腐って何からできているか知ってる?」
「これは知ってます!大豆と水とにがりです。え、さっきのが大事なお話だったんですか?」
「そうなんだよ、大豆ってお米と小麦の次に続く第3の穀物って言われてる。でも、大豆ってそんなにメジャーじゃない。なんでかっていうと、炭水化物よりもタンパク質のが割合が多いからね。畑のお肉って言われる由来もそこからきてるし。ここまで言えば、さっきの説明が効いてくるでしょ?」
「そう、そのとうり。だから美味しいとされる豆腐っていかにその炭水化物の部分を引き出しているのが一つのポイントになってくるんだよ。ここでやって豆腐に話が戻ったね。」
「おお〜!点が線になりました。少し豆腐博士に近づいた気分です。材料は知ってたのですが、豆腐ってどうやって作るんですか?」
「ざっくり説明すると、大豆とお水をぐしゃぐしゃに混ぜる。混ぜたら、おからと豆乳に分ける。最後ににがりを入れると完成。大まかな作り方はこんな感じだよ。簡単な話、豆乳とにがりを買って、レンジでチンすれば豆腐の完成だよ。」
「え、そんな簡単にできるものなんですね。あの、にがりってどんなものなんですか? やっぱり苦いからにがり?」
「苦いというかは、塩辛いかな? 海水で塩を作った後の不純物がにがりと言われるものだよ。科学的な根拠はないんだけど健康にいいって最近言われてるね。今はドラックストアにも売ってるから一度買ってみるといいかも。味は保証できないけど。」
「なるほど、一度やってみる価値はあるかもしれませんね!やってみようかなぁ。」
「ここで、ちょっとした裏話だけど、今はあんまりにがりを使ってないんだよ。」
「え!じゃあ、一体何で固めてるんですか?というか他のもので代用できるんですか!」
「そうなんだよ、技術が進むごとにそういったことも可能になったんだ。にがりだときれいに固まらなかったり、味を均一にするのが難しかったりしてね…。豆腐は嗜好品で、汎用性の高い食材。お客様は味は当然大切だけど、日持ちしたり、自分が欲しい時に欲しい数、そして安定した味を求めてるからね。
「時代の影響もあったね、高度経済成長期もあったし、作れば売れた時代が影響して、大量生産が当たり前になってしまった。大豆は輸入物だったり、にがりを使わなかったり。安定した物は作れる反面、昔ながらの豆腐の作り方を忘れてしまったのが僕たちの業界の問題でもあるよ。」
「もちろん、それが全部悪いってわけじゃあないんだ。安定したものを提供するには、きちんとした設備投資が必要だしね。だからみんながスーパーで買ってる豆腐って綺麗な設備で作られた豆腐だから粗悪品じゃないんだよ。企業努力の結晶がスーパーのお豆腐コーナーに集約されてるんよ。」
4代目T(豆腐)ソウルブラザーズ |